【No.18】パイネ国立公園トレッキング
目的・きっかけ
準備
トレッキングへ!
目的・きっかけ
Be-palという雑誌で、HOBOジュンさんのパイネ国立公園トレッキングが特集されており、
漠然といつか行ってみたいと思っていたのが、現在になって実行するタイミングが巡ってきました。
僕たちの目的はロングトレイルをすること。約107kmのトレイルとなりました。
準備
【1】.情報収集
ロンリープラネット Trekking in the PATAGONIAN ANDES版、各人のHP、プエルトナタレースのインフォメーション・オフィス。
※地球の歩き方には、パイネ国立公園にはツアーでしか参加できないような書かれ方をされています。
ロンリープラネットには、「サーキット」と「W」及び代替コースが紹介されています。
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【2】.トレッキングコースの選定
当初はパイネ連峰を1周する「サーキット」に加えて「W」を歩く計画でした。
しかし、トレッキング当日入園の際に峠が雪で閉鎖されているという事実を知り、慌ててコース変更。
Administration centreよりLago Pehoeへ向かい、そこからWを開始することにしました。
<国立公園入場料>
1人15,000チリ・ペソ
入園料はGuarderia Laguna Amargaで支払います。
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【3】.装備の準備と調達
新規購入したもの:速乾性長袖シャツ(RYUJI & HIROKO)、MSR製バーナー・メンテナンスセット
他、バーナーの燃料用で自動車用ガソリンを650mlボトル1本分。(実際に入れてる燃料は590mlです。)
その他、ホワイトガソリンを2L持って行きました。1食当たりの燃料消費量を73ml×31食分(予備日を含め10泊11日)で約2,260mlの計算です。
合計2,590mlの内、約300mlは予備です。実際に使用したのは1,500ml程度でした。
プエルト・ナタレースの街には、アウトドア店が数軒ありホワイトガソリン(スペイン語でBENCACINA BLANCA)
を入手できます。(1Lで2,000チリ・ペソ)
MSR製バーナーのメンテナンスセット(9,500チリ・ペソ)はプンタアレーナスのアウトドア店で購入。
※トレッキング装備以外の荷物は、セントロで泊まった宿で預かって頂きました。
以下は、持ち物の情報です。
りゅうじ
▼装備として
ザック、前掛けバッグ、寝袋×2、エアーマット×2、シルバーマット、調理用バーナー、ホワイトガソリン、コッフェル、マグカップ、アーミーナイフ、
マッチ、ライター
▼身に着けるものとして
トレッキングシューズ、ビーチサンダル、帽子(つばつきとニット帽)、サングラス、レインウェア上下、速乾性下着上下、厚手靴下、
コンパス、公園内地図、ヘッドライト及び予備電池
▼その他
食料(朝・昼)、トイレットペーパ、ノート、筆記用具、ロンリープラネット、貴重品
重量測定なし 推定20kg〜25kgの間。
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ひろこ
▼装備として
ザック、テント一式
▼身に着けるものとして
トレッキングシューズ、泥除けガーター、ビーチサンダル、帽子(つばつきとニット帽)、サングラス、レインウェア上下、速乾性下着上下、厚手靴下、
コンパス付きホイッスル、公園内地図、ヘッドライト及び予備電池
▼その他
食料(夕)、行動食、トイレットペーパ、ノート、筆記用具、貴重品、洗濯ばさみとロープ、釣り用バケツ、
デジカメ、ケア用品
重量測定なし 推定15〜16kg
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【4】.その他情報
■交通費
行き
プエルトナタレース⇔パイネ国立公園の往復チケットで1人15,000チリ・ペソ
※プエルトナタレースのほとんどの宿ではこの往復チケットを代理で斡旋してくれます。直接バス会社のオフィスに行っても
値段は変わりません。
帰り
上記の復路分のチケットを利用。オープンチケットなのでどの日でもプエルトナタレースに戻れます。
僕たちは、国立公園入口でバスの到着を待っていたら、他社のバス会社が往路分のチケットで乗せてくれました。
今回は、プエルトナタレース戻りのバスの座席にだいぶ余裕があったから稀なケースだと思います。
■アクセス
宿でバスのチケットを頼むとその宿まで朝バスがピックアップしに来てくれます。
バス会社で手配しても宿名を言えばピックアップ可。出発時間はピックアップ人数、場所にもよりますが朝7時半前後です。
途中チリとアルゼンチンの国境にほど近いセロ・カスティージョというところで休憩あり。
また国立公園内でのバス停は3箇所あります。行きも帰りもこのポイントから発着します。
1、国立公園入口となるLaguna Amarga
2、Pudeto:ここからAcampar Paine Grandeまでフェリーも出ています。
3、終点のSede Administrativa
■公園内テントサイトについて
無料テントサイト(私達がテントを張った場所ではCampament Las Carretas、Campament Italiano、Campament Torresが無料)と
有料テントサイト(1人3,500〜4,000チリ・ペソ)がありますが、有料のテントサイトにはrefugio(スペイン語で山小屋)が併設されており、売店、トイレ&シャワー設備
があり、とても快適にトレッキングが出来ます。ちなみにトレッキングで意外と悩むのがトイレットペーパーを何ロール持ち込むか?ですが、有料テントサイトにはトイレにきちんとペーパーが付いていました。
また、値段は未確認ですが有料サイトには常設テントがありました。
ちなみにrefugioの宿泊はドミトリー式で1人20USドル前後(要事前予約)、国立公園内のホテルともなると100USドル以上します。
refugioに併設されているレストランでの食事の相場は、朝食5,000チリ・ペソ、昼食7,000チリ・ペソ、夕食9,000チリ・ペソと
かなり高いです。
■水場
困りません。小川がトレイルを横切っていたりします。(そのまま飲める)
もちろんテントサイトは水場の近くです。
■トレイルの状態
世界に名立たる国立公園だけあって、よく整備されています。木や岩に印があったり分岐点には必ずサインボードがあります。
迷うことはまずありません。
■日没時間表
パタゴニア地方で僕たちが驚いたのが日没の遅さ。日本の山では考えられないくらい「遅出遅着」をしても問題ありません。
御参考までにパイネ地区の日没表を記しておきます。
※CONAF(CORPORACION NACIONAL FORESTAL)発行パイネ国立公園マップの付加情報より抜粋して転記。
DATE |
日の出 |
日没 |
1月20日 |
5:52 |
21:44 |
2月20日 |
6:48 |
20:52 |
3月20日 |
7:38 |
19:50 |
4月20日 |
8:29 |
18:42 |
9月20日 |
7:32 |
19:31 |
10月20日 |
6:24 |
20:21 |
11月20日 |
5:29 |
21:17 |
12月20日 |
5:15 |
21:55 |
■国立公園の地図
パイネ国立公園の地図はこちら→
チリの国立公園全般を管理するCONAF(CORPORACION NACIONAL FORESTAL)のサイトも役に立ちます。
CONAFのサイトはこちら→
■アウトドア用品の調達
パイネへのゲートシティとなるプエルトナタレスは規模こそ小さいですが、パイネトレッキングで潤っている街なので
基本的なトレッキング用品は調達できます。
■地図入手
街の本屋でパイネや他のパタゴニア地区の地図を取り扱っていましたが、プエルトナタレースのインフォメーション・オフィス、国立公園の入口でも配布してくれます。
■トレッキング用の食材調達
一番大きいスーパー(HIPERMERCADOS ABU-GOSCH)がやはり何かと便利でした。
オートミール、コーンフレーク、缶詰、チーズ、サラミ、粉ジュース、パスタ、粉じゃがいも、アーモンド・ナッツなどトレッキングで使えそうなものが置いてありました。
*メイン通りManuel Bulnesを東に進むとすぐに見つかります。
■行動食の内容
板チョコレート3枚、飴玉3袋
■準備した食料
朝 |
昼 |
夜 |
フレーク系のオートミール 2,000g、干しぶどう 300g、ピーナッツ1袋、アーモンド1袋、マッシュポテト(粉末に水を入れるとポテトになるやつ)、
粉ミルク 9L分 |
クラッカー 2,200g、Dulce de leche(キャラメルがペースト状になったもの。アルゼンチン及びチリではどこでも売ってます) 1,200g |
パスタ 3,100g、パスタソース4袋、粉チーズ、乾燥わかめ、醤油、だしの素、野菜スープの素、インスタントスープ1袋、ゆかり |
その他:
コーヒー1びん分、紅茶Tバック約20袋、砂糖500g、ワイン500ml。
その他追加品としてトレッキング中に国立公園内で買い足したもの:
サラミ1袋(2,200チリ・ペソ)、卵13個(1個150チリ・ペソ)、
オレンジジュース1L(1,500チリ・ペソ)、ネクター1L(2,000チリ・ペソ)、
ポテトチップス(1,500チリ・ペソ)を買い足しました。相場は街中の2倍くらいです。
結果的には、
朝食のオートミールが約900g、粉ミルク約4L分、コーヒー1/2びん分、紅茶Tバック10袋くらいが余りました。
砂糖が9日目にしてなくなってしまったので、今後10日間500g以上を目安に考えたいと思います。
■食事の内容
DAY |
朝 |
昼 |
夕 |
1日目 |
- |
クラッカー&Doluce de lech茶 |
クラッカー(昼食の余り)、ミートソースパスタ、ゆで卵、ワイン |
2日目 |
オートミール+アーモンド+ピーナッツ+乾燥ぶどう+粉ミルク+砂糖をミックスさせたも |
クラッカー&Doluce de leche |
パスタうどん(醤油と乾燥わかめとだしの素)、ゆで卵、ワイン、サラミ、マッシュポテト |
3日目 |
1日目と同じミックスオートミール、ゆで卵、紅茶 |
クラッカー&Doluce de leche、サラミ、ワカメスープ、紅茶 |
ゆかりパスタ(ゆかりをフリカケたやつ)、ワカメスープ、ワイン、チョコレート |
4日目 |
1日目と同じミックスオートミール、紅茶 |
クラッカー&Doluce de leche、ワカメスープ |
ミートソースパスタ、ワカメスープ |
5日目 |
1日目と同じミックスオートミール、紅茶 |
クラッカー&Doluce de leche、オレンジジュー |
スープパスタ、紅茶 |
6日目 |
1日目と同じミックスオートミール、ゆで卵、紅茶 |
クラッカー&Doluce de leche、紅茶 |
パスタうどん(醤油と乾燥わかめとだしの素)、紅茶 |
7日目 |
1日目と同じミックスオートミール、紅茶 |
クラッカー&Doluce de leche、紅茶 |
ミートソースパスタ、かき卵ワカメスープ |
8日目 |
1日目と同じミックスオートミール、紅茶、チーズパスタ |
クラッカー&Doluce de leche、紅茶 |
ミートソースパスタ、ワカメスープ |
9日目 |
クラッカー&Doluce de leche、紅茶 |
クラッカー&Doluce de leche、オートミール |
パスタうどん(醤油と乾燥わかめとだしの素)、スープパスタ |
10日目 |
ゆかりパスタ、1日目と同じミックスオートミール、紅茶 |
クラッカー&Doluce de leche、紅 |
− |
計28食
トレッキングへ!
■11月16日 快晴 プエルトナタレース→パイネ国立公園Administration Center前 所要時間4時間 移動距離120km
歩いた区間はAdministration Center前〜Campamento Las Carretas 歩行時間2時間 歩行距離約8km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
朝8:00頃、30分遅れでピックアップのバスが宿の前まで来る。
途中、休憩を取りながらも雄大な風景の中を走ること3時間、国立公園の入口に到着した。
僕たちは、ここから「サーキット」をする予定だった。
しかし、プエルトナタレースの宿で今朝、「サーキット」のコース途中にある標高1,200mの
Paso John Garnerが残雪のために通過できないんじゃないかという話を聞いた。確かにロンリープラネットにもベストシーズンは12月〜3月で、
それ以外の時期は標高500mを越えると雪があると書かれている。
が、例年の平均であり今年も当てはまるとは限らないとタカをくくっていた。
国立公園入口前の事務所(Laguna Amarga)で入園料を支払った際、もう一度「サーキット」は可能かどうかを確認した。
答えは、ノー。やはりこのコースで最高標高1,200mの峠が残雪のために封鎖されているとのこと。
これではPaso de la ovejaの時と同じではないか!全く最近「峠」でロクな目にあっていない。
そうも言ってられない。即時にコース選定をし直す必要がある。再びバスに乗り込み終点であるAdministration Centerまで行きそこから
パイネ連峰を遠景を眺めながら歩く代替ルート、そしてパイネ連峰の懐に入り込んで行く「W」をすることに決めた。
「W」を歩くだけならば、距離は76kmで最低5日間の日程でできる。しかし、僕たちは予備も含め、10泊11日分の
食料と燃料を持ち歩いているのだ。せっかく食料計画も綿密にやったのに、のこのこと5日間で帰るのは馬鹿馬鹿しい。
そんな単純な理由で無理やり、約18kmの代替ルートを付け加えたのだ。
こうなったら気に入った場所で2泊くらいして目一杯パイネを楽しんでしまおう。
国立公園の入口から更にバスで走ること40分くらい、終点のAdministration Centerに到着する。
11:45、ザックを背負って歩き始める。ザックにはテント生活に必要なものや調理器具、燃料の他に11日分の食料が入っている。
今回の荷物は結構重い。そしてパタゴニア地方特有の強風も時折吹き付けてくる。国立公園内の予報によると、
風は風速30〜50m/sで観測されるようだ。
←パイネ連峰遠景。風が強かった。
途中で、強風にさらされながらも、昼食をとり14:00には無料のキャンプサイトに到着した。
本来であれば、もっと先に行くこともできるが、先を急がないことにした。
今の時期、この地域は22:00頃まで明るい。従って21:00頃までトレッキングをしていても全くライトも必要ないし、
真昼間と同じ感覚で行動できてしまうのだ。しかし、僕たちはサーキットという目的がなくなったので、この際、持ってきた
食料の日数分、ゆっくりと景色を堪能しよう!と決め、文字通りスローペースで進むことにした。
さて、ここのキャンプサイト、ロンプラによるとあまりいい紹介のされ方をされていないのだが、Paso de la obejaで最悪な天候と
コンディションを経験していたので、僕たちにとっては、パラダイスな場所だった。テントは2〜3張りできればいい程度で、
トイレと風避けのシェルターがあり、近くには小川が流れていた。この日は2時間歩いただけでのんびりと過ごした。
← テントを張った場所。僕たち以外は誰もいなかったので、とても快適でした。
← これで21:40頃です。日が長いですね。
■11月17日 くもり〜快晴 Campamento Las Carretas〜Acamper Paine Grande 歩行時間3時間 歩行距離10km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
朝、寒くて目が覚める。外には霜が張っていたようだ。前日は天候が良かったので日中は
半袖で過ごせたが、朝ともなると一気に気温が落ちる。
食事やテント撤収を済ませて、8:00頃出発する。
この日は草原歩きがメインとなった。だんだんとパイネ連峰に近づいてきているのが実感できた。
← 無風だったため、草原の湿地にできた水たまりに山が鏡のように映った。
11:00頃、Acamper Paine Grandeに到着。荷物を降ろしテントを張った。
ここは芝生のテントサイトでなかなか気持ちのいい場所だった。
ちょっとした食料も調達できるし、シャワーも浴びられる。おまけにキッチンまであり、燃料節約にもなる。
ここの売店で卵を買い、キッチンでゆで卵を作ったり、山を見たりしながらダラダラと過ごした。
← テントの中で寝転がりながら外の風景を堪能した。
■11月18日 くもり Acamper Paine Grande〜Refugio Grey 歩行時間4時間15分 歩行距離11km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
いよいよアップダウンが入ってくる日だ。
Lago Pehoeを過ぎた辺りから植生が変わってくる。木々が増え始め雑木林を中を歩くことになる。
森林限界は500m以下と低いが、それでも標高200〜300mまでは植生の差がはっきりと分かる。
それもそうだ。この辺の年間降水量は2,000mmなのだ。対する国立公園の入口付近は800mm以下、さらに西の地域は4,000mm以上と国立公園内だけでも随分と
気候に差がある。
このコースは植生の変化だけではなく、時折抜ける森林限界あたりで、突風に吹きさらされる強風地帯でも
ある。とにかく風が強くレイヤリングをきちんとこなさないと、体を冷やしてしまう場所だ。
歩き始めて2時間経過した頃、眼下に広大な氷河がドドーン!と姿を現した。グレイ氷河である。
氷河を眼下に眺めながら、トラバースの下りと森林帯のアップダウンを繰り返し、昼頃、グレイ氷河の
先端近くにあるRefugio Greyに到着した。
← グレイ氷河。近くに見えるが、ここから氷河の先端に行くまでに2時間近くかかる。
軽く昼食をとりテントを設営した後、早速、グレイ氷河がよく見えるミラドール(Mirador:スペイン語で見所のこと)まで行ってみることにした。
Refugio Greyから15分くらいだろうか。Miradorから更に岩肌を登ったところで、真正面に
氷河を拝むことができる。高さはさほどでもないが、奥まで続く氷河が巨大過ぎてスケール感が
掴めない。
← 氷河の先端。
■11月19日 くもり〜晴れ Refugio Greyで今日も1日のんびりと過ごす。
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調不良
今考えたら一昨日から少しづつ食べている「サラミ」でおなかが不調になったひろぴん。
ちょっと苦しげにマットで横になっているので今日は大事をとって休憩。
← 崩れ落ちた氷河
■11月20日 くもり〜晴れ〜雨〜くもり Refugio Grey〜Acamper Paine Grande〜Campamento Italiano 歩行時間5.5時間 歩行距離約19km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
再び、Lago Pehoeから来た道を引き返し、大きくV字を描くようにフランセス谷へ入っていく日だ。
このコースの途中でやっておくことがあった。それは帽子を回収すること。2日前にこのコースの途中で休憩を取ったときに
、帽子を置き忘れてしまったのである。「あるかな?」「あるといいな」などと2人で話しつつ歩いていたら…
あった!!風で飛ばないようにさりげなく目立つように置き忘れた帽子をひっかけてくれた人がいるのだ。
もしかすると、多少汚れているから誰も盗もうと思わないのかもしれないけど。自然を愛する人に悪人はいないとはよくいったものだ。
どこの誰とも分からないけれど、ありがとう。
歩いて3.5時間後、再びAcamper Paine Grandeへ着いた。
強風の中、昼食を取り、いよいよ午後はフランセス谷の麓に入っていく。
歩き始めて1時間も経たないうちに天候が悪くなってきた。
この行程では終始、強風が吹き続け雨も降り出した。 パタゴニアの風の洗礼だ。
フランセス谷付近は、天候が悪いことが多いという情報を得ていたが、正しくその通りになった。
雨に濡れながらもItalianoに到着。
← どんよりと曇ったフランセス谷方面
ここの雑木林の中にあるテントサイトは無料なのだが、どーも居心地が良くない。
雨のせいもあるが、じめじめした雰囲気なのである。しかし、またこの雑木林が強風からテントを守ってくれているのだ。
夕方、どんよりとした曇り空に明かりが差し込んできた。明日は晴れて欲しいと願いつつ夕食をとり寝袋に入る。
←再び晴れ。天候が変わりやすい。
この日の夜中、フランセス谷のどこかで氷河が崩落する音を聞いた。
ひろぴんもこの音で目を覚ましたらしい。お腹に響くどーーんという音。いつまでも尾をひいて耳の奥に残った。
どちらともなく「すごいねぇ」とつぶやく。自然は偉大だ!と使い古されたような言葉を、今この状況でなら感覚でわかると思った。
■11月21日 くもり〜雪〜晴れ〜雪〜くもり〜雨 Campamento Italiano⇔フランセス谷Mirador〜Campament Los Cuernos
歩行時間6.5時間 歩行距離約21km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
朝7:00、テントを幕営したままフランセス谷のMiradorを目指して出発。
歩き始めて15分足らずで、雑木林を抜け森林限界に達する。
荷物は飲み水とチョコレートと飴玉、そして衣類だけなのでとても軽い。2人とも足が軽快に弾む。
相変わらず、強風で時折、晴れたり雪が降ってきたりしたが、再び雑木林に入ると
強風の影響はほとんどない。谷の裾野を歩くこと2.5時間、Miradorに着いた。
予測していた所要時間より30分早い。やはり身軽だからなのだろう。
→ Miradorに行く途中にて撮影。
Miradorは、強風と雪が吹きつけ、とても寒かった。数日前まで、半袖でトレッキングをしていたのが嘘のようである。
パイネの特徴はやはりこの移り変わりしやすい天候であろう。15分もいただろうか?寒過ぎて下山を開始した。
再びItalianoに戻ってきたのは、12:30頃。昼食を手短に取り、テントを撤収して再び出発。
湖沿いに歩いて、本日のキャンプ地を目指すもまたもや不安定な天候。容赦なく風と雪が吹き付けてくる。
キャンプ地は有料サイトとあって、芝生だった。
たまった洗濯物を一気に洗ったり、シャワーを浴びたりして過ごす。
ここは世界に名立たる国立公園だけあって、有料テントサイトではホットシャワーが浴びられる。なんと贅沢なトレイルなのだろうか。
天気が悪くても今僕たちは憧れのパイネにいるということを感謝して眠りについた。
■11月22日 くもり〜雨〜晴れ〜雹〜雪 Campament Los Cuernos〜Campament Chileno 歩行時間約4時間半 歩行距離約12km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
この日も天候に恵まれなかった。
朝方から雨。でも、ここの天気のことだからすぐに止むだろうと考えて、他のトレッカーがどうしようと相談しているのを尻目に、
僕たちは荷物をまとめていつでも出発できるように準備をした。
案の定すぐに雨は止んだので、その隙にテントを撤収。
今日も長丁場だ。Lago Nordenskjoldという湖を右手に見ながらCampament Chileno目指して歩く。
← 天候が良くなったのは束の間。この後、再び天候が悪くなる。
途中ウシュアイアへ向かうバスで一緒に乗り合わせたイギリス人のおじさんに会った。そういえば数日前はグレイ氷河へ向かう道で
ウシュアイアで同じ宿だったイスラエルの男性とも会った。彼らにとってパタゴニアの旅=トレッキングなのだ。
対して日本人旅行者はパタゴニアに来てもトレッキングする人は総じて少ないような気がする。
プエルトナタレースの宿の主人には「ここでは日本人はあまり見かけないね。来たとしても日本人はあまり冒険をしない」と言われる始末だ。
別にトレッキングをしないことが悪いとは全く思っていないし、それは個人の自由というものだ。
だけど宿の主人に言われた言葉を思い返すと心にひっかかて悔しい気分になった。
そんな取り留めのないことを考えつつCampament ChilenoとHosteria Las Terresの分岐点に約3時間で到着。
← 分岐点前の小さい湖。山の方には雲がかかっている。
ここでお昼休憩をとって、更に谷へと入っていく。
ここからCampament Chilenoまではほぼずっと登りだ。地図を見て予想をしていたとはいえ、さすがにここ3日間は結構な距離を長時間歩いているので疲れもたまっている。ひろぴんは登り坂になると極端にスピードが遅くなった。
谷間を吹き抜ける風がだんだんと強くなる。雪も降ってきた。ひろぴんを急かして13時50分やっと今日の目的地Campament Chilenoに着いた。
←Chienoへ向かう谷間。 この時点ですでに雹が降っていた。
■11月23日 くもり〜快晴〜くもり Campament Chileno〜Campamento Torres⇔パイネの三本塔 歩行時間:2時間10分 歩行距離約9km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
朝目覚めると外は吹雪いていた。でも、もうこれくらいでは驚かない。二人で寝袋やマットなどを片付けている間にあれよあれよという感じで晴れ間が見えてきた。パタゴニアの強風は雨雲も晴れもそんなに長続きさせてはくれないのだ。
歩き始めて1時間ちょっとでTorres(三本塔)に一番近いテントサイト(Campament Torres)に着いた。
テントを張って、お昼をさっとすませて、早速トレスに向かう。
ガレ場を登りきるとそこにトレスが堂々と立っていた。その様子は威厳すら感じさせる。
← Torresへ向かうガレ場。
でも、ひろぴんはトレスに恐怖を感じているらしい。
見る人によって色んな感じ方があるのだなぁと思った。
他のトレッカーたちもそれぞれに思うことがあるらしく、寒いのに皆なかなかこの場を立ち去らない。
僕はといえば特に深い感動は訪れなかったけれど、ついにここまで来たかという達成感を味わっていた。
← Torres。ここの標高は約700m。対する三本塔は一番高いもので2,800m以上ある。
■11月24日 快晴 Campamento Torres〜Camping Las Torres 歩行時間2時間15分 歩行距離約9km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
いよいよこのトレッキングも終わりが近づいている。
僕は朝6:00からもう一度、三本塔のMiradorまで登り7:00過ぎに帰ってきた。
テントを撤収して8時35分にCampament Torresを出発。今日は朝から気持ちの良い快晴だからか、2人とも足取りも軽い。
昨日来るのに1時間15分かかった道を帰りは45分で戻ってしまった。
C.Chilenoで軽く休憩をとってから、camping Las Torresを目指す。
昨日ここは強風で雪だったので視界も悪かったけれど、今日は本当に気持ちよく風景を見渡せる。僕は靴下をザックにくくりつけて、
乾かしながら歩く。ひろぴんは何かを歌いながら前を歩いていく。結局、予定の時間よりだいぶ早い11時にcamping Las Torresに
着いてしまった。
← 最後は好天に恵まれ、気持ちのいいトレッキングができた。
今日このままプエルトナタレースに帰ることもできたけれど、まだ食料もあったし、二人とももう少しここにいたいね。
と意見が一致したので、ここでザックをおろしてテントを張った。
← とても気持ちのいいテントサイトでした。
■11月25日 くもり Camping Las Torres〜Laguna Amarga(国立公園入口前) 歩行時間1.5時間 歩行距離約7.5km
移動 パイネ国立公園→プエルトナタレース 2時間 移動距離120km
りゅうじ:体調良好
ひろこ:体調良好
最終日。ここから公園入口に行く無料送迎車に乗っても良かったが、最後にもう一度景色をゆっくり見ながら締めくくろうと
決め、国立公園の入口までの約8kmのほとんどアップダウンがない道を歩いた。背後には光輝くTorresがあった。
考えてみれば随分とザックも軽くなったもんだ。よく歩いた〜って感じです。
2人とも何度も何度も振り返りながらパイネを後にした。
← パイネ国立公園トレッキングのラストを飾るに相応しい光景だった。
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